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Doctor's Interview

丸山 千寿子 先生
日本女子大学 家政学部 食物学科 教授

-食事でLDLコレステロールを減らすにはどうしたらよいですか?

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血中のコレステロールには、食事から摂取したものと、肝臓で作られたものがあります。まず、食事からコレステロールをとりすぎている場合は、コレステロールを多く含む卵類、臓物類などを減らしてみましょう。太っている方は、肝臓でのコレステロールの合成力が高まっているので、エネルギー摂取量を減らして内臓脂肪を減らしましょう。


これまでの食べ方と比べて、1日に250kcal程度(せんべい2枚、クッキー3枚、ケーキ小1個、クロワッサン1個、日本酒1合半、缶ビール500mL、焼酎1合、油脂大さじ2杯 など)を毎日減らしていけば、LDLコレステロール濃度は徐々に下がってくるでしょう。


コレステロールは、リポたんぱく質の形で血管内を運ばれています。LDLというリポたんぱく質はHDLによって組織から回収されてきたコレステロールを肝臓に戻すはたらきがありますがLDLが肝臓に取り込まれにくくなると、血液中に滞り、LDLコレステロール値が高くなります。とくに、飽和脂肪酸はLDLを肝臓へ取り込まれにくくするので、バター、ラード、肉の脂身(脂身の多い肉)、生クリーム、洋菓子などの飽和脂肪酸の摂取をひかえると、血中のLDLコレステロール濃度を下げることができます。


さらに、組織から肝臓に回収されたコレステロールは、胆汁酸に作り替えられて腸に排出されますが、再吸収されて肝臓へ戻ります。麦、海藻、野菜(とりわけネバネバしたもの)などに含まれる水溶性食物繊維は腸管でのコレステロールの再吸収を妨げるので、食事のたびに必ず食べましょう。

-「伝統的な日本食」とはどのようなものですか?

①飽和脂肪酸の多い肉を減らす、②不飽和脂肪酸が多い魚や大豆を増やす、③食物繊維を充足させるために麦飯や雑穀と海藻・きのこ・こんにゃくなどのエネルギーのない食品の摂取量を増やす、こうしたことは、欧米型の食事から「日本食」に変えることを意味します。


日本動脈硬化学会では、動脈硬化性疾患を予防する食事のあり方として、1970年代の日本人の平均的な食品摂取のあり方をモデルとした「日本食:The Japan Diet」の組み合わせパターンで食品を選び、減塩に留意した料理を食べることを推奨しています。


当時の日本は冠動脈疾患の発症率が欧米諸国と比べて著しく低く、日本人の食事が動脈硬化予防に適しているとして世界から注目されました。第二次世界大戦の後、しばらくは食糧不足で栄養欠乏が問題となっていましたが、1970年代には国民が適度に食料を確保できるようになりました。当時の日本人の食べ方は、欧米と比べて肉や乳、油脂などがきわめて少なく、大豆や魚がきわだって多かったのです。


ただし、食塩の摂取量が非常に多かったため、脳卒中の発症率が高く、日本と同じように魚を食べるギリシャなどの地中海諸国の食べ方のほうが、健康的だとされるようになりました。

-「日本食」でLDLコレステロールを下げることができるのはなぜですか?

動脈硬化が進みにくい減塩した「日本食」では、魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻・きのこ・こんにゃくを積極的に食べることが特徴です。


  • 魚:動脈硬化の進展を防ぐ作用があるEPA(エコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのn3系多価不飽和脂肪酸が豊富です。
  • 大豆(とくに納豆):大豆たんぱくと食物繊維を供給し、コレステロール低下作用があります。
  • 野菜、海藻・きのこ・こんにゃく、甘味の少ない果物:低エネルギーで食物繊維が多いので、肥満解消とコレステロールを糞便として排泄するのを助けます。また、カリウムを多く含むので血圧を下げるのに役立ちます。

  • 主食は精製された白米や小麦粉製品(パン、麺など)を麦飯や精白度の低い玄米などの未精製穀類に変えることで、ミネラルと食物繊維が充足されます。一方、肉の脂身、牛脂、バター、ラードなどの動物脂を避けて飽和脂肪酸を減らし、卵黄・臓物を避けてコレステロールの過剰を防ぎます。清涼飲料や菓子などの蔗糖や果糖を含む加工食品、アルコールは、とりすぎないように注意すれば体脂肪を減らすことができ、これもLDLコレステロールを下げるのに役立ちます。

    -「日本食」は「和食」と違うのですか?

    「和食」とは、日本人が古来から各地域で受け継いできた自然環境にふさわしい料理や、伝統に根差した食文化としてあらわされる料理や食べ方を指します。


    「日本食」では、世界のなかでも日本人が特別によく食べている魚、海藻、大豆、野菜を忘れず食べることを勧めます。食事の基本は、主菜(糖質の多い米など)、主菜(たんぱく質の多い魚、大豆、肉、卵など)、副菜(野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなど)と汁を揃えて食べることで、栄養素のバランスが自然に整います。


    また、味つけで重要なのは五味(辛、甘、酸、塩、苦)に加えて、昆布・カツオ節・干ししいたけ・煮干しなどでだしをとり、旨味を活かすことで、自然の食材の味を活かします。わさび、しょうが、さんしょう、唐辛子、ゆず、しそ、ごま、みょうが、せり、三つ葉など、風味と香味を使うと減塩でも美味しくいただけます。

    -気をつけるべき食べ物はありますか?

    最近の「和食」では、日本特有の料理として、天ぷら、焼き鳥、ラーメン、とんかつ、お好み焼き、すき焼きなどがもてはやされることがあります。また、「和食」のなかには、漬物や佃煮などの食塩の多い料理や干物などの塩蔵品も含まれます。これらは動脈硬化を進ませないという観点からは控えめに食べたい料理ですので、あえてこれらを区別するために「日本食」といっています。


    減塩した「日本食」を習慣的に食べるようにすれば、LDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などが高くなる脂質異常症を改善できますし、血圧や血糖の低下も期待でき、減塩した「日本食」は、日本人にとって動脈硬化の危険因子を同時に解消するために都合のよい食事といえるでしょう。



    dr.maruyama02.png丸山 千寿子 (まるやま・ちずこ)
    日本女子大学 家政学部 食物学科 教授

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