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血管健康くらぶHOME > Doctor's Interview > コレステロールは悪者なのか? ~コレステロールとうまくつきあっていくために~

Doctor's Interview

寺本 民生 先生
帝京大学 臨床研究センター センター長

-コレステロールは本当に悪者なのですか?

drteramoto-int.jpg コレステロールは、私たちの体になくてはならない脂質の一つです。第一に、細胞の膜を構成している脂質の半分はコレステロールです。また、副腎皮質ホルモンというホルモンは、コレステロールから作られています。私たちの体が出血などの危機にさらされたりしたときには、副腎皮質ホルモンが分泌され、危機から守ってくれたりします。
性ホルモンもコレステロールから作られます。性ホルモンは、子孫を残すために必須のホルモンです。そして、私たちが食事で脂肪などを摂取したとき、それを小腸で吸収しやすくする消化液の一部もコレステロールから作られます。このようにコレステロールは私たちの体にはなくてはならないものなのです。

-体に必要なものなのに、なぜ悪者といわれるのでしょうか?

私たちはコレステロールを作ることができますが、分解することはできません。というのも、人間にとってコレステロールがとても重要だからです。これは人類が誕生して大半の期間、きわめて食物の不足した飢餓の状態が続いたからと考えられています。それが、18世紀の産業革命後から食事環境が向上し、事態が変わってきたのです。
人類誕生が約30万年前と考えると、ほんの少し食事環境が潤沢になっただけで、私たちはまだその状況に適応できずにいます。そこで起こったことは、これまで実に巧妙にコレステロールを細胞に取り込んで使う機能として「LDL受容体」という細胞膜のタンパクがはたらいていたのですが、食事内容の変化によってそのはたらきが悪くなってきたのです。つまり、コレステロールを、細胞の膜やホルモンなどに変化させる仕組みがうまくいかなくなり、血液の中に澱んできて(つまり増えすぎて)しまったのです。そして、コレステロールの行き場がなくなり、カスのように血管にたまって、動脈硬化を起こすことになりました。こうして、「増えすぎたコレステロール」が「悪者」といわれるようになったわけです。

-コレステロールが増えるとどんなことが起こるのでしょうか?

血液中のコレステロールは、一定量なら問題ないのですが、増えすぎると動脈にカスのようにたまってきます。詳しく説明すると、血液の中に増えるコレステロールの大半は、LDLというリポたんぱくに包まれています。これは、多すぎると動脈の内膜に入り込んでいきます。そこで、細胞から出てくる酸素の影響を受け、酸化LDLという物質に変性します。酸化LDLは、いわば体にとって異物ですからこれを排除しようとして、マクロファージという白血球の仲間で、"掃除屋白血球"と呼ばれる細胞が、異物処理をし始めます。
異物を取り込んだマクロファージは様々な因子(サイトカインといいます)を出すことによって、炎症反応を起こし、いわば傷があるかのようなサインを出すのです。このような反応により、内膜にはコレステロールとともに多くの細胞が集まり始め、動脈にふくらみを作ります。このふくらみをプラークと呼んでいます。プラークは、次第に大きくなり、ついには火山のように噴火してしまいます。これは血管壁の傷ですから、そこに血液のかたまりができます。そのかたまりが大きくなると、動脈が詰まってしまいます。
このようなことが心臓の冠動脈に起こると、狭心症や心筋梗塞、脳動脈に起こると脳梗塞、大腿動脈に起こると閉塞性動脈硬化症などの病気を発症します。とくに心筋梗塞や脳梗塞は命にかかわる重大な病気であり、コレステロール値が高いことが問題になるのです。

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-動脈硬化を防ぐために、コレステロールとどう付き合っていけばよいですか?

まず、重要なことは、動脈硬化は決してコレステロールだけが問題なのではなく、喫煙、糖尿病、高血圧などの危険因子が関与しているということを認識しておくことです。つまり、「コレステロールは大丈夫」と思っても、他の因子がうまく管理できていないと、動脈硬化が進行する可能性があるということです。
問題をコレステロール値に絞ると、「なぜ高くなっているのか」という原因から考えるべきです。コレステロール値は、食事内容によってLDL受容体のはたらきが悪くなって、コレステロールを取り込み、細胞の膜やホルモンなどに変化させる仕組みがうまくいかなくなるために、高くなることが多いのですが、遺伝的にLDL受容体のはたらきが悪い「家族性高コレステロール血症」という病気があります。ほかにも、腎臓や肝臓に病気があって、それが原因でコレステロール値が高くなることもあります。これを「二次性高コレステロール血症」と呼んでいます。
まず、「家族性高コレステロール血症」ですが、LDLコレステロールが180mg/dL以上の場合、その可能性を疑って医師の診断を受けてください。この病気は、早期に心臓病などが発症する可能性が高いと考えられており、食事や運動より薬剤治療が優先されるからです。

-コレステロールを増やさないための生活のポイントについて教えてください。

家族性高コレステロール血症や二次性高コレステロール血症が否定されたら、食事の注意が必要です。食事でもっとも問題となるのが、動物性脂肪(飽和脂肪酸)です。まずは牛肉や豚肉、ひき肉などを魚に変更することがポイントです。
それでも、コレステロール値が下がらないようであれば、食事に含まれるコレステロールや食物繊維のことも考えてみましょう。卵の黄身を減らして、野菜(特に根菜類や有色野菜)をできるだけとるようにしてください。
もう一つ問題となるのが、トランス脂肪酸です。ショートニングを使ったケーキやクッキーなどの洋菓子類は、できれば和菓子に変更したほうがよいと思います。
運動は、直接コレステロールを下げる効果はあまりありませんが、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールを増やす作用が知られています。運動自体が動脈硬化を予防する効果を持っていることもわかっていますので、積極的に運動するように心がけましょう。

drteramoto-shomen.jpg 寺本 民生(てらもと・たみお)

帝京大学 臨床研究センター センター長
寺本内科・歯科クリニック 内科院長

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