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血管健康くらぶHOME > コラム > 市民公開講座 > 食事が乱れるいろいろな原因とは?~第52回日本循環器病予防学会市民公開講座レポート第5弾~

コラム

2016年6月に開催された「第52回日本循環器病予防学会学術集会」市民公開講座レポートの第5弾(最終回)をお送りします。
医薬基盤・健康・栄養研究所 国際産学連携センター長の西 信雄先生による「食事が乱れるいろいろな原因とは?」というテーマでのお話しです。
 
目次
・食事の乱れと健康格差
・健康日本21(第二次)
・世帯収入別にみた食料の消費支出、食品群別摂取量、肥満、喫煙習慣

 

食事の乱れと健康格差

 
仕事や家事が忙しい、生活環境が変わった、など食事が乱れる原因はいろいろです。
食事の乱れの内容もいろいろです。
  • 食事の回数(朝食抜き、間食)
  • 食事の量(食べ過ぎ、飲み過ぎ、少食)
  • 食事の内容(脂っこいもの、加工食品)
  • 食事の時間(時間帯、所要時間)
  • 食事の場所(外食)
  • 食事を一緒に食べる人(一人で食事をする「孤食」) 
食事の乱れに関連する社会的決定要因についてみてみましょう(WHO 2010による)。
最近、「健康格差」ということが言われています。「健康格差」にはどういったことが影響しているのでしょうか。
 
中間決定要因としては、物的環境(居住・職場環境、食品の入手可能性など)、行動と生物学的要因、心理社会的要因などがあります。
保健医療制度が、これら中間決定要因と「健康格差」の間に位置します。

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「健康格差」のもう少し遠い要因として、構造的決定要因があります。
社会経済的地位、社会階級、ジェンダー(社会的性別)、民族、教育、職業、収入などです。
 
構造的決定要因のうち、さらに背後にあるのが、社会経済的・政治的背景です。
ガバナンス(企業統治)、マクロ経済政策、社会政策・労働市場・住宅・土地、公共政策・教育・健康・社会保障、文化的・社会的価値などです。
 
これら構造的決定要因と中間決定要因を結んでいるのが、社会的結束とソーシャルキャピタル(社会関係資本)です。
 

健康日本21(第二次)

「健康格差」が話題になっている中で、21世紀における国民健康づくり運動である「健康日本21(第二次)」が策定されました。
生活習慣の改善(リスクファクターの低減)と社会環境の改善に取り組むことで、最終的には健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指します。
 
その過程に、生活習慣病の発症予防・重症化予防、社会生活機能の維持・向上、社会参加の機会の増加、健康のための資源(保健・医療・福祉などのサービス)へのアクセスの改善と公平性の確保、などがあります。
 
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「健康日本21(第二次)」の中では、生活習慣病などと栄養・食生活の目標との関連も示されています。
生活習慣病の改善に繋がる目標項目に掲げられているのは、食環境、食行動、食物摂取、栄養状態などです。
これらは、冒頭でお話しした食事の乱れとも関連してきます。
 
食環境の目標としては、食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業の数及び飲食店の数の増加、特定給食施設での栄養・食事管理の向上が挙げられています。
 
食物摂取の目標には、食塩摂取量減少、野菜・果物摂取量増加、主食・主菜・副菜をそろえた食事増加、誰かと一緒に食事をする「共食」の増加などがうたわれています。
 
これらを実現させることで、適正体重者の増加も期待されます。
 
適正体重の実現には、次のような対策も必要です。
子供:肥満・やせを減少
成人期の男性と女性:肥満を減少
成人期の女性:やせを減少
高齢期:やせを減少
 
こうした取組が、循環器疾患、がん、糖尿病、低出生体重児、高齢者の体力低下・死亡などの疾病・健康状態に良い影響を与え、健康寿命の延伸と生活の質の向上に結びつくことが期待されます。
 

世帯収入別にみた食料の消費支出、食品群別摂取量、肥満、喫煙習慣

 
国民健康・栄養調査による栄養素別エネルギー摂取構成比率の年次推移をみると、1950年代は約80%を炭水化物から摂っており、脂質からは約8%に過ぎませんでした。しかし、その後、10年刻みでみると、次第に炭水化物は減少し、脂質からの摂取が増加してきています。
2010年では、炭水化物からが約60%、脂質からが約26%となっています。
           
平成27年家計調査(総務省統計局)による、年間収入別に1世帯当たり年平均1カ月間の消費支出を調べた結果をご紹介します。
二人以上の世帯の年間収入をⅠ(~334万円)、Ⅱ(334~444万円) 、Ⅲ(444~600万円)、Ⅳ(600~823万円) 、Ⅴ(823万円~)の五分位階級(五段階)に分けた結果です。
 
食料費や教育費は五分位階級が上位ほど(収入が多いほど)、支出額が多くなっていました。
割合(パーセンテージ)でみると、支出に占める食料費の割合(エンゲル係数)は、五分位階級が下位ほど(収入が少ないほど)高く、上位ほど(収入が多いほど)低くなっていました。
 
年間収入からみた支出額における食料費の内容についても、五分位階級に分けて分析しています。
外食費は、五分位階級が上位ほど(収入が多いほど)、支出額が増加していました。
割合(パーセンテージ)でみると、支出に占める穀類費の割合は、五分位階級が下位ほど(収入が少ないほど)やや高くなっていました。
外食に関しては、五分位階級が上位ほど(収入が多いほど)、支出に占める割合が高くなっていました。
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厚生労働省による平成26年国民・栄養調査でも、世帯収入別にみた食品群別摂取量を調べています。
20歳以上の男女を年間収入から200万円未満(男性423人、女性620人)、200~600万円(男性1,623人、女性1,776人)、600万円以上(男性758人、女性842人)に分けて穀物、野菜、肉類の摂取量を分析しています。

600万円以上の世帯と比べて200万円未満、200~600万円の世帯では、男女とも穀類の摂取量が多くなっており、野菜や肉類の摂取量は少なくなっていました。このように収入が少ない世帯では、食事が主食中心になっている可能性が示されました。

この国民・栄養調査では、世帯収入別にみた肥満者(BMI:体格指数≧25)、喫煙者の割合も調査しています(20歳以上)。
600万円以上の世帯と比べて200万円未満の世帯では、男女とも肥満者の割合が多くなっていました。
習慣的に喫煙している者の割合は、600万円以上の世帯と比べて200万円未満、200~600万円の世帯では、男女とも多くなっていました。
 
我が国の長期追跡調査である「ニッポンデータ研究2010年」でも、習慣的に喫煙している者の割合を調べていますが、年代を問わず男性で多くなっていました。
同研究では、喫煙習慣を学歴、婚姻状況別にも調べていますが、男女とも大学卒と比べて高校卒・中学卒で喫煙習慣が多くなっていました。また、離別した女性では特に喫煙習慣が多くなっていました。しかし、離別したことが原因で喫煙するようになったかどうかは不明です。
 
本日のお話しをまとめます。
・食事や生活習慣が乱れる原因として、社会的な要因は重要です。
・健康な生活を送ることができる社会の実現に向けた努力が必要です。
・引き続き「ニッポンデータ研究」へのご協力をお願いします。

 

講師プロフィール

drnishi.jpg国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所 国際産学連携センター長
西 信雄先生

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